2022年11月28日

企業の帳簿は自計化を勧めます

みなさんの会社では帳簿はどなたが記帳しているでしょうか?
自社で行っている会社もあれば、税理士等に丸投げしている会社もあるかと思います。
税理士に丸投げすることを記帳代行(きちょうだいこう)、
自社で帳簿を作成することを自計化(じけいか)と呼びますが、当社ではできる限りお客様には自計化を勧めています。
自計化を勧める理由、お客様にとってのメリットデメリットを書いていこうと思います。

自計化のメリット

記帳を自計化するメリットとしては次の点にあると考えています。

① 自社で記帳することにより試算表作成までのスピードが早まる
② 税理士からの提案内容の向上につながる可能性がある
③ 誤った経理処理の可能性が減る
④ 税理士の顧問料削減につながる可能性がある

それぞれ解説していきます。

① 自社で記帳することにより試算表作成までのスピードが早まる

当然ですが、税理士は貴社だけを相手に商売をしているわけではありません。
そのため、記帳代行の場合、税理士に資料を提出してから試算表ができるまでに通常、2週間~1か月程度かかります。
その月の翌々月に税理士から試算表の説明を受けるという会社が多いのではないでしょうか?経営者の立場からしてみると、その月の約2か月後にしっかりとした結果がわかるという状態は少し遅いと考えています。自計化を行うことにより、その月の翌月に試算表の作成が完了できるようになります。

自計化を達成することによってスピード感を持った経営に結び付きます。

② 税理士からの提案内容の向上につながる可能性がある

全ての税理士がそうではありませんが、税理士に記帳を任せていると税理士の仕事のメインが記帳代行となってしまうことがあります。本来であれば、税理士の職務はそれだけにとどまらず、経営上のアドバイスをしたり、税金面での提案を行うことだと当社は考えています。自計化を達成した場合、税理士としてはその分、そのお客様に対する工数が空くため、よりそういった提案をしやすい状況になります。

同じ顧問料を支払うならば、そのような付加価値にお金を支払うべきではないでしょうか?

③ 誤った経理処理の可能性が減る

税理士に記帳代行を頼んでいる会社の中には、『税理士に頼んでいるから経理処理については必ず誤りはないだろう』と考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、税理士の人間は当然、社外の人間になります。そのため、社外の人間との伝言ゲームになってしまうため、どうしても会社が想定する経理処理とは違った処理をされる場合や、情報の共有がうまくいかず、税務上も誤った処理をしてしまうことが稀に生じます。

私も誤りが無いように極力努めてはいますが、どんなに優秀な税理士がやったとしても、100%正確に近づけることはできますが、100%完璧になることはないと考えています。

④ 税理士の顧問料削減につながる可能性がある

②と内容が少し被りますが、自計化を行うことにより税理士としては、工数が空くため、顧問料の削減につながる場合があります。

実際に、当社も記帳代行のお客様より自計化のお客様には顧問料を安く提示しています。

自計化のデメリット

自計化のメリットを4つほどあげましたが、当然いいことばかりでは無く、デメリットもあります。その点についても説明していきます。

① 会計ソフトの維持費がかかる
② はじめは記帳代行より時間がかかる場合がある
③ 人件費が税理士の顧問料より高くなってしまう場合がある
④ 個人事業の場合、事業主の本業に充てる時間が減る

以上がデメリットとなる可能性があります。

① 会計ソフトの維持費がかかる

税理士に記帳代行を頼む場合は、税理士の方で会計ソフトを用意するため、お客様の側では不要でしたが、自社で経理を行う場合はご自身で購入して頂く必要があります。
安いものでは年間で4~6万円程度のソフトがありますが、追加でそれらの費用がかかってきます。

② はじめは記帳代行より時間がかかる場合がある

簿記に慣れ親しんだ人であれば記帳代行はスムーズにいきますが、そうでない人は簿記の勉強からスタートすることになります。税理士と顧問契約している場合、サポートはもちろんありますが、不慣れな人が初めてやる場合、記帳代行よりも時間がかかる場合があります。

しかし、最近ではクラウド会計などの新しいソフトが出ていますので、最初の設定をしっかり行えば、簿記の知識が無い方でもそこまでハードルは高くないと感じています。

③ 人件費が税理士の顧問料より高くなってしまう場合がある

自計化を新たにはじめる場合、社内の業務が増えることになりますので、新しく人を雇ったり、既存の人の仕事を増やす必要があります。それによって人件費が増加する可能性があり、結果的に税理士に外注するよりもお金がかかってしまう場合があります。

④ 個人事業の場合、事業主の本業に充てる時間が減る

個人事業の方は、従業員がおらず、事業主やその配偶者の方だけで事業を行っていることが多々あります。そのような方が自計化を行う場合、事業主の事業に充てられる時間が削られてしまう結果となるため、本業の売上が伸びず、本末転倒となってしまう可能性があります。

まとめ

以上が私が考える自計化のメリットデメリットでした。
いい点もあれば悪い点もありますが、基本的にはメリットの方が大きいと考えています。
とは言え、小規模事業者では少しハードルが高い面がありますので、当社では次の流れをお客様にお勧めしています。

① 創業一年目は自分で記帳、申告を行う
② 2年目以降は税理士に記帳代行を頼む
③ 人を雇用できる体力がついてきたら自計化に切り替える

まず1年目については、記帳代行にしろ、今後試算表などを読む必要があることや、税金についての最低限の仕組みを知ってもらうため、税理士等のサポートを受けながら自分で記帳、申告を行うことを目指していただきます。
それで一年間のスケジュールを回したのちは、事業拡大に専念していただくため、税理士に記帳代行を任せ、その後、一定規模になったのちに再度、自計化を目指すという流れが一番良いと考えています。

お客様の状況によってケースバイケースになるかと思いますので、一度顧問税理士とご相談してみてください。当社では、自計化達成のための支援も行っております。お気軽にご相談ください。


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