2022年10月11日
2022年11月07日
個人事業主のお客様からよく、今の事業を法人成した場合、得か損かという質問を頂きます。
巷では売上が1,000万円を超えたら、法人化した方がいいや、売上が一定額以上毎月あるなら法人化した方がいいなど様々な意見があります。
法人成した場合の、私が考えるメリットデメリットについてまとめてみましたので、参考にしてください。
私は法人成のメリットは大きく分けると次の2点であると考えています。
実際、過去の法人成をされたお客様を見ても、この2つの理由であることが大半です。
① 社会的な信用度が上がる
大きな売上に結び付きそうな見込客が法人しか相手にしてくれない。
銀行からの融資が少額しか借りれない。
新しく参入しようとしている業種に規制があり、法人しか算入できない。
以上の理由などから法人成されるお客様も多いです。
事業が一定程度の規模になった場合には信用の面から法人成を検討した方が良いでしょう。
② 節税に繋がる場合がある
2つ目の理由としては税金の面で節税に繋がる場合があることです。
個人事業の場合、事業で稼いだお金については所得税・住民税・事業税が課税されます。
住民税・事業税については、税率は一定ですので、どれだけ稼ごうが、10%などの割合で納税するだけになります。
しかし、所得税については、累進課税制度が採用されていますので、その人の所得に応じて、5%~45%の税率が課税されることになります。
そのため、所得が高額の人は住民税等と合わせて半分以上が税金ということになります。
しかし、法人である場合には、法人税・住民税等を合わせて約3割の税率となっているため、所得が高い人については、納税額を抑えることが出来ます。
また、個人事業の場合、事業主自身の給与(生活費)は経費とすることができませんが、法人の場合、役員報酬を出すことができるため、給与を法人の経費とすることができますし、給与をもらう個人では、給与所得控除という仕組みがあるため、もらった給料に対して丸々税金がかかるわけではありません。
所得の目安としては500万~700万円くらいから、法人成を検討した方が良いでしょう。
法人成することによるデメリットについても見ていきます。
① 社会保険に強制加入
法人成した場合、例え従業員がいない会社であっても社会保険に加入義務があります。
また、法人で社会保険に加入した場合は、個人負担分だけではなく、法人負担分も発生してくるため、社会保険の負担が増加することが考えられます。
② 赤字でも住民税の均等割が発生する
個人事業主の場合、事業が赤字の場合は税金は生じませんが、法人の場合、赤字であっても都道府県民税・市町村民税の『均等割』というものを支払う必要があります。資本金の金額や地方自治体によって金額が異なりますが、年間で約7万円の負担が生じます。
③ 法人の設立費用がかかる
はじめだけになりますが、法人を設立する際、司法書士へ支払う登記費用や登録免許税等の費用が生じます。株式会社や合同会社など法人の形態によったり、資本金の金額で費用は上下しますが、株式会社の場合は約30万円、合同会社の場合、約20万円の費用がかかることが一般的です。
④ 税理士や社労士に支払う報酬が上がる可能性がある
個人事業に比べて法人の場合、税務や社会保険の手続きが煩雑となることがありますので、税理士や社労士から顧問料の値上げを要請される場合があります。
以上、法人成のメリットデメリットについてまとめてみました。
融資などここには書ききれないさらに細かい点が他にもたくさんあります。
売上が1,000万円を超えた場合など消費税の面でも変わってくることもありますので、一定規模以上の方は一度、税理士に相談されることをお勧めします。
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