2024年11月27日
2022年10月11日
先日、所得税法基本通達の改正についてブログを書きました。
こちらについて、国税庁よりその後の改正案が出ましたので、紹介します。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/index.htm
以前のブログで詳細は記載していますが、以前出されていた改正案について復習をしましょう。
改正案のポイントはこちらでした。
売上が300万円以下の場合、特段の事情が無い限り『雑所得』として取り扱われる。
300万円以下の場合、雑所得として取り扱われるため、55万~65万円の青色申告特別控除や、赤字が出た場合の他の所得との損益通算が認められません。ということが以前の改正案で示されていました。
今回発表された再度の改正案ですが、300万円という基準は一旦、無くなり、
新しい改正案では、事業所得として認められるためには、
『記帳・帳簿書類の保存がある』
ことが第一条件となりました。
売上、所得を把握するために帳簿をしっかり作成していること、またその根拠となる書類の保存が求められます。
これらを作成、保存した上で、
『社会通念で判断』
とされました。
社会通念で判断となっていましたので、また曖昧な基準になりそうだなあと思ったのですが、解説を見ると詳細がのっていました。
解説4(一部抜粋)
事業所得と業務に係る雑所得の区分については、上記の判例に基づき、社会通念で判定する
ことが原則ですが、その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、かつ、記録した帳簿書類を保存
している場合には、その所得を得る活動について、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を
有し、社会通念での判定において、事業所得に区分される場合が多いと考えられます。
(注)その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場
合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10%
未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。
※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、
「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます
※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは
所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。
こちらで社会通念上事業かどうかの基準が示されています。
この解説では、
⒈過去3年の収入が300万円以下であり、かつ主たる収入に対する割合が10%以下であること
⒉毎年赤字でそれを改善するための取り組みを行っていない場合
には雑所得として取り扱うとなっています。
従って、給与500万円のサラリーマンが副業で50万円超、売上を出しており、赤字でない(赤字でも解消するための取り組みを実施している場合も含む)場合は、事業所得として取り扱われます。
そのため、
記帳・帳簿書類の保存があれば、概ね事業所得として取り扱われます。
なお、記帳・帳簿書類の作成が無い場合については、収入金額が300万円超の場合は社会通念により事業所得か雑所得かを判断し、300万円以下の場合には原則として雑所得として取り扱われます。
以前のブログでも書きましたが、やはり売上300万円で画一的に事業かどうかを判断するのは、批判が大きかったようです。
今後は、主たる収入に対する割合が10%超ということが求められますので、事業所得として計算するハードルはかなり下がった印象がします。
しかしながら、改めて記帳・帳簿書類の保存が求められることとなりましたので、副業を行っている方は、しっかりと帳簿作成に努めてください。
帳簿作成等のアドバイスも鷲見税理士事務所では行っておりますので、困ったことがありましたらお気軽にご相談ください。
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