2022年12月16日
2022年10月04日
私事ですが、先週、交通事故にあいました。車同士の接触で、私、相手方、双方ともに搭乗者にけがは無かったのですが、車が傷ついてしまいましたので、そのやりとりを保険会社と行っています。
修理についてはお金で解決できることですので、人身事故とならず本当によかったと思っています。
愛車が傷ついたのはかなりショックでしたが笑。
さて、今回、私が悪いにしろ相手の方が悪いにしろ、保険金のやりとりをすることとなります。車両保険について所得税はかかるのかなどについて紹介していきます。
車に乗られている方の多くは任意保険に加入していることと思います。
任意保険・自賠責保険については、プライベートの車両については、所得税の計算には入れることはありませんが、個人事業主の方が仕事で使っている車両の保険料については下記に分けるようにケースバイケースですが、一定額を経費に計上することができます。
① 完全に社用車としている場合の保険料
プライベートでは一切使用せず、事業のみに使用している車両の保険料は全額、その個人事業主の経費とすることができます。
② 事業用でもプライベートでも使用している場合の保険料
ほとんどは事業に使用し、一部プライベートで使用しているような車両の保険料については、『家事按分』し、事業用部分については経費として計上できます。
例えば仕事で80%使用し、プライベートで20%使用しているような車両の保険料については、支払額の80%を経費として計上できます。
家事按分の基準としては、走行距離を用いる方法などが考えられます。
任意保険により支払われる保険については下記の3種類に分かれます。
賠償保険 | 事故により第三者に損害を与えた場合、保険会社から被害者に支払われる保険 |
傷害保険 | 保険に加入している運転者などの損害を補償する保険 |
車両保険 | 事故により破損した車両の損害を補償する保険 |
これらについては『心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害に基づいて取得する保険金』となりますので、所得税法上、原則として非課税となります。
意外なことに思われるかもしれませんが、個人事業に使っている車両についての車両保険であっても、非課税として取り扱われます。
そのため、簿価200万円の車両で250万円の保険金が入金された場合であっても、差額の50万円に対しては所得税は課税されません。
補足ですが、簿価200万円の車両で150万円の保険金が入金された場合には、差額の50万円は必要経費に算入することができます。
しかし、保険金を使って事業用の車両を修理した場合や、車を廃棄した場合には、その修理費用や廃棄費用は必要経費に算入することはできません。
150万円の保険金にプラスして自己資金50万円を使って新たに200万円の車両を購入した場合には、200万円を取得価額として減価償却を行います。
上記のように、基本的には保険金の受け取りに対して所得税が課されることは無いのですが、一定の事例では税金が課税される場合があります。例を2つ挙げます。
① 棚卸資産に対する賠償保険・損害賠償金として受け取る場合
例えば、個人事業主の経営するコンビニに車が突っ込んだような場合には、備品のほかに商品に対して保険が下りる場合があります。商品についてはもともと販売する目的で保有していたものですので、『保険金の金額で売った』と考え、事業の収入としなければなりません。
② 死亡保険金として入金される場合
こちらはケースによって、相続税・贈与税・所得税が課税される場合とに分かれます。
1.相続税が課税される場合
交通事故で亡くなった方(被相続人)が保険料を負担していた場合、その死亡保険金の受取人に対して相続税が課税されます。
2.贈与税が課税される場合
父が交通事故で亡くなり、息子が保険料を負担しており、母に死亡保険金が入金されるような場合には、亡くなった時に息子から母に死亡保険分の贈与があったとされ、贈与税が課されます。
3.所得税が課税される場合
父が交通事故で亡くなり、息子が保険料を負担しており、息子に死亡保険金が入金されるような場合には、息子に対して、所得税が課税されます。
以上まとめると、ケガをした本人が保険料を負担しており、ケガをした本人に保険金が入金される場合には税金は課されませんが、それ以外の場合には税金が課税される可能性があります。
損害賠償金についても、保険金と同じように基本的には非課税となります。
個人事業主の方やサラリーマンの方が、受け取る治療費や慰謝料、事故により仕事ができなくなったことを原因とする収益補填の損害賠償金などについては非課税となります。
しかし、経費を補填するような性質のものは課税されます。
例えば、お店に車が突っ込んだため、修理期間中、他の店舗を賃借し、その賃借料分として損害賠償金を受け取るような場合には経費の補填に充てることが明らかであるため、事業の収入金額となります。
保険の支払い、受取りについてざっと解説していきました。お金が入るということは基本的にはうれしいことですが、事故の保険金はできれば受け取りたくないものですね。
また、事故に遭われた方はケガの後遺症や保険の対応など、身体的精神的ともに負担がかかっていると思います。それに追い打ちをかけるかのように税務署から『申告がされてませんよ』と言われ余分な税金・ペナルティを支払わないよう、保険金を受け取った場合には、税務署や税理士にご相談されることをお勧めします。
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