2022年09月07日

ガソリン税に消費税がかかる?

一時期ガソリンの値段は落ち着いていましたが、また最近上がってきましたね。
ここ数日、円安も進んでいますので今後も上がっていきそうな予感がしています。

ところで、一時期ネットで話題になっていましたが、『ガソリン税に消費税が上乗せされていて、二重課税の状態になっている』という話がありました。
これは一体どういうことでしょうか?少し解説してみます。


税金の原則


取引に対して二重で税金がかからないように極力配慮されています。
そのため、所得税や法人税では配当金に対して調整を施したり、外国税を払った場合には控除できるなど様々な規定が設けられています。


ガソリン税とは?


ガソリン税とは正式には揮発油税と地方揮発油税が合わさったものをいいます。
揮発油税は一リットル当たり48.6円、地方揮発油税は一リットル当たり5.2円が課税されています。

そのため、ガソリン一リットルあたりに対し、

揮発油税(48.6円)+地方揮発油税(5.2円) = ガソリン税(53.8円)
が課税されています。

その他にも石油石炭税、地球温暖化対策税などがガソリンに課税されており、小売価格の4割を税金が占めいていると言われています。


さて、ガソリン税を負担するのは誰だと思いますか?

小売価格に相当額が含まれているので当然、我々消費者だと思うかもしれません。
しかし、法律上の建前は条文を読んでみると違うことがわかります。

揮発油税法

(納税義務者)
第三条 揮発油の製造者は、その製造場から移出した揮発油につき、揮発油税を納める義務がある。
 揮発油を保税地域から引き取る者は、その引き取る揮発油につき、揮発油税を納める義務がある。

(課税標準)
第八条 揮発油税の課税標準は、揮発油の製造場から移出した揮発油又は保税地域から引き取る揮発油の数量から、消費者に販売するまでに貯蔵及び輸送により減少すべき揮発油の数量に相当する数量で政令で定めるものを控除した数量とする。

これではよくわからないと思いますので、噛み砕いて言いますと、

ガソリンを作ったメーカーや、ガソリンを輸入した業者は製造所から輸送する時や税関からガソリンを引き取る時に売先からもらう税金を払って下さいね。ということが書いてあります。

では、メーカーなどの売先はどこになるでしょう?

私たち消費者ではなくガソリンスタンドなどとなるはずです。そのため、法律上のガソリン税の負担者は消費者ではなく、ガソリンスタンドなどということとなります。

しかし、ガソリンスタンドも払いっぱなしではお金を回収することができませんので、ガソリン税をコストとしてガソリン価格に含めることになります。したがって最終的には消費者がガソリン税相当額を負担することとなります。


ここでポイントとなるのはガソリン税の法律上の負担者がガソリンスタンドとなることです。ガソリンスタンドがメーカー等にガソリン税を払うことにより法律上の関係は全て終了していますので、ガソリンスタンドが消費者に請求する分については、ガソリン税の範疇外ということになります。そのため、消費者が負担するガソリン税相当額に消費税が課税されることになります。


軽油税には消費税はかからない?


ガソリン税と同じような税金で軽油引取税というものがあります。
ディーゼル車に乗っている方にはおなじみの税金ですが、軽油に対してかかる税金です。
性質はガソリン税と同じようなものですが、こちらは納税義務者がガソリンスタンドなどとなっていまして、消費者から直接預かった軽油税をガソリンスタンドが納税します。
そのため、軽油税に消費税をかけるのは二重課税となってしまいますので、軽油税には消費税はかかりません。
同じような仕組みの税金でなじみのあるものとしては入湯税やゴルフ場利用税などがあります。これらの税金も実際の負担者が消費者となるため、消費税が課税されることはありません。


まとめ


ガソリン税と軽油税の違いは直接の負担者がガソリンスタンドなのか消費者なのかという違いです。
結局、最終的には消費者にしわ寄せがいっているため同じことじゃないかと思うかもしれません。(私もそう思います笑)
しかし、法律から見ると似て非なるものですのでガソリン税相当額に消費税がのっかっても二重課税とはならないという話は論理的には通じるものとなっています。
実はガソリン税と同じ仕組みで、ある意味二重課税されているものには酒税やたばこ税といったものもあります。ガソリン税と違ってこれらは一般的にはぜいたく品と呼ばれるものですので、現状の仕組みに文句を言う人もそこまでいないでしょう。(私はお酒大好きですのでこの仕組みがなくなれば大いに喜びますが・・・)
ガソリン税の現状の仕組みを変えると酒税やたばこ税はどうなるんだという話になってしまうので、今後もこの状態が解消されることはガソリン税の負担を直接消費者とするように改正しなければ無いでしょう。


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